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help RSS 貧困ゆえに低学力、意欲向上どう導く

<<   作成日時 : 2010/02/09 15:09   >>

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 ◇生活に窮する子どもたち…教研集会の報告から

 日本教職員組合(日教組)の第59次教育研究全国集会(教研集会)が1月23日から25日まで山形市などで開かれた。全国各地の現場報告のうち、目立ったのは子どもの貧困問題だった。

 ◆伸び放題の髪の毛

 光熱費を抑えるため、たまにしか風呂に入らせてもらえない子ども。1年に1、2回しか理容店に行けず、髪が伸び放題の児童−−。福岡県の公立中学の男性教諭(41)のリポートは社会の底辺であえぐ子どもたちの実態を浮き彫りにした。

 かつて石炭で栄えたこの地方は、炭鉱閉山後、長く経済が疲弊したままだ。教諭が勤務する中学は、生活困窮世帯に学用品や修学旅行費などを市町村が支給する就学援助制度の対象世帯が約4割に上るという。前任校では制服代を払えず「入学式に出席させられない」と言ってきた新入生の母親に、代金を立て替えたこともあった。

 日教組の地元支部の集会で、周辺の学校から同様の事例がいくつも報告された。金銭の負担ができず部活動を断念する例も多い。ある中学では就学援助を受給する生徒の部活動参加率が、受給していない生徒の半分にも満たなかった。教諭は高校の推薦入試で不利になるのではと懸念する。

 七夕の短冊に「お金持ちになりたい」と書いた子や、3食確実に食事が出る合宿で「これが毎日続けばいいな」と漏らした子。言葉や行動の端々にその子が置かれている状況が垣間見える。

 北陸地方の高校の女性教諭(59)も、08年9月のリーマン・ショック以降、生徒の家庭の経済状況は確実に悪化していると感じている。「授業料が払えない」「積立金を滞納し修学旅行に行けない」「夏服の着替えがない」−−。生徒や保護者から悲痛な訴えが次々と寄せられるようになった。

 この高校は、いわゆる「底辺校」と呼ばれる学校の一つだ。親が非正規雇用の家庭や母子家庭も多い。教諭は「親が低賃金・長時間労働など厳しい労働環境に置かれ、経済的にも時間的にもゆとりがないことが、子どもの問題行動や低学力と直結している」と指摘する。

 ◆学校外活動費に大差

 文部科学省が1月末に公表した08年度の「子どもの学習費調査」によると、塾や家庭教師などの「補助学習費」と、英会話やピアノ、スポーツなどの習い事や体験活動、本代といった「その他の学校外活動費」を合わせた「学校外活動費」は、子どもを私立小学校に通わせている年収1200万円以上の世帯で年間平均72万9000円。これに対し、公立小学校に通わせている年収400万円未満の世帯は13万4000円と5分の1以下だ。

 ◇「底辺校」の高校 小学校レベルからやり直し

 ◇面談し校内検定と朝学習、中退減る 一方で「勉強しても将来に関係ない」

 経済格差が教育格差を生み、結果的に「底辺校」と呼ばれる学校に貧困家庭の子どもたちが集中する現実。そうした中、困窮家庭が多い地域にある福岡県の県立高校の男性教諭(57)が、4年前に始めた学校独自の学力向上策を発表して注目を集めた。

 教諭がこの高校に赴任したのは5年前。分数の足し算や小数点のかけ算ができない、アルファベットが書けない……。小学校レベルの問題を解けない生徒の多さに驚いた教諭は着任から半年後、各教科の教員や学年担当らによる「基礎学力向上委員会」を組織して話し合いを始めた。「小学校のつまずいたところから学習をやり直して、卒業までに最低限の基礎学力をつけること」を目標に掲げ四つの取り組みを行うことにした。

 (1)入学前面談

 入学式前の登校日を1日増やして個人面談を行い、どの段階でつまずいたかを事前把握するのが狙いだ。将来の夢や高校生活の不安なども聞き取る。「学力が低い生徒の場合、中学時代に疎外感を感じていたケースが多い。早めに教職員との信頼関係を築くことが必要」と教諭は言う。

 (2)入学前学力診断

 県内の中学校が新入生に行っている「数学基礎力テスト」を使って、個々の学力を事前に診断する。過半数が小学3、4年段階でつまずいていることが分かった。

 (3)校内検定

 国語、数学、英語について、中学1年程度から高校初級程度までの20段階に分けた独自の検定を実施し、卒業までに一番上の級まで進むことを目指す。不合格者には夏休みや放課後などに個別指導をしたり、検定級別にグループ分けして補講したりする。

 (4)「朝学」

 「朝読」と題した読書の時間に充てていた始業前の8分間を、国語、数学、英語のプリントで学習する「朝学」の時間に改めた。毎朝、基本問題を繰り返すことで、学習習慣を身に着けさせ、基礎学力を定着させるのが狙いだ。

 こうした取り組みで、一定の成果も出てきた。この高校には例年160人程度が入学するが、以前は60〜70人が中退し、卒業まで残るのは90人程度だった。だが、入学時からこの取り組みで育ってきた今の3年生の中退者は約40人。アンケートで校内検定や朝学について49%の生徒が「役に立っている」と答え、そのうち44%が「勉強が分かるようになる」と回答した。

 ◆夢や目標もたせたい

 一方で「役に立っていない」という回答が過半数の51%あったのも事実。教諭がショックを受けたのは、「勉強しても将来に関係ない」という理由を挙げる生徒が多かったことだ。自宅での学習時間は依然として大半が「ゼロ」と答えた。半ば強制的に基礎学力を身に着けさせても、必ずしも学習意欲の向上には結びついていない。

 将来の目標を具体的に描けるような進路指導など、どうすれば学習へのモチベーションを維持させることができるかが、次の課題だという。

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